純金とわずかな銀と銅を合わせ、約1300度の高温で溶かし、合金をつくります。配色比率は金箔の用途によって定められており、それぞれ金箔の色味が異なります。
合金を帯状に延ばしたものを「延金」といい、ロール圧延機で何度もローラーがけをし、約20分の1mm程度までの薄さに延ばします。
帯状の延金は約5cm角に切りそろえ、一枚ずつハトロン紙に挟み、200枚を1パックにして三味線皮で包み、打ち延ばしに使われる「澄打機」でまんべんなく延金を打っていきます。
13cm角ほどまで延ばされた状態のものを「小兵」といいます。
小兵を一枚ずつ大きなハトロン紙に移し替え、再度、澄打機で延ばしていきます。
18cm角ほどまで延ばされたものを「荒金」といいます。
小重の大きさから一回り大きなサイズの「大重」と呼ばれる「澄打紙」に移し替えます。
これを再度、澄打機で紙いっぱいなるように4時間程度延ばし、1/1000mmの薄さにまで延ばしていきます。
大重の大きさになったものを、ハトロン紙に移し替え、軽く澄打機で打ちます。
これにより、柔らかく粘りのある表面をつや消状のサラサラな状態にし、扱いやすくします。
20cm角の大きさに裁断します。これを「仕上澄」または「上澄」といいます。
澄屋で作られた、20cm角の上澄を大小の正方形や長方形に9~12枚程に切り分けます。これは、最終的に仕上げる金箔の重さを均一にするためです。
小間紙と言われる「箔打紙」に大小の澄片を組合わせていきます。
なお、箔打紙は工程により呼び名が異なります。
小間紙と澄片がずれないように、まき革で包み込み牛革で固定します。そして、箔打機で打ち延ばし、およそ10cm角にまで延ばしていきます。
小間打ちが終わった上澄を「小間」といいます。この小間を「まま紙」と呼ばれる箔打紙に打つし替えます。打つし終えた、まま紙を電熱器で暖めます。これを「火の間作業」といいます。
火の間作業を終えたあと、箔打機で1万分の1mmまで延ばしていきます。
1万分の1mmまで延ばされた箔を三椏紙(みつまたし)でつくられた「広物帳(ひろものちょう)」とよばれる一時保管用冊子に1枚1枚挟み替えます。
箔打ちで使用した「まま紙」は金粉等を払い、再度箔打紙として利用します。
広物帳の箔を、鹿皮を張った革盤(かわばん)に竹箸で移し、枠(わく)と呼ばれる四角い竹製の刀で規定の大きさに1枚1枚裁ち、「箔合紙」と呼ばれる三椏製の紙の上に1枚づつ重ねていき、100枚を一包として完成品とします。
縁付金箔の完成です。
このように、完成箔を台紙の上に一枚一枚重ねる時に、台紙の寸法が金箔を縁どるようにひと回り大きいことから「縁付」と呼ばれる理由です。
澄工程で使用します。
原料は、ニゴと称する稲藁の穂先部分を切除した茎部分(80~90%)とし、楮(こうぞ)(20~10%)を加えて漉く特殊紙で、澄屋が約1週間ほどかけて紙仕込みを行います。
箔工程で使用します。
原料は、雁皮と特殊な土を混入して漉かれた特殊紙で、その原紙は下地紙と呼ばれます。これを箔打師が、多大な時間と労力を費やす複雑な紙仕込みを行って「箔打紙」に仕立てます。この紙の加工技量が、金箔の良し悪しを決めると言っても過言ではなく、箔打師は金を打つよりも、紙仕込みにはるかに長い時間をかけます。
また、使い込んで用途を終えた箔打紙は、あぷらとり紙として再利用します。
下地紙の紙仕込みの工程で使用します。桔100%の厚い紙です。
三椏100%の紙で、出来上がった金箔を保存するためのホルダー台紙として使用されます。